本年度は、昨年度に引き続き多次元分布のPrincipal Pointsに関する研究を進めると共に、特に半導体製造工程に関して、データ解析への応用に目を向けていろいろと解析を試みた。半導体製造工程は通常数十もの工程を複雑に組み合わせて構成されており、途中でLSIの検査ができない上に製造条件が異なる製品がため、製造途中製品の予想が問題となっている。今年度はその問題に取り組み、下記の成果を挙げた。 ・実際の半導体製造工程のデータの解析にPrincipal Pointsを応用した。各工程からの変数を工程単位でPrincipal Pointsを求めて離散化することで、データを圧縮し、要因解析を実現した。 ・半導体ウェハー上の不良LSIの発生パターンは単純ではなく、製造条件によっても、製品によっても、不良の発生位置と不良数のばらつきが大きい。そこで半導体ウェハー上の不良パターンをPrincipal Pointsを用いて分類し、不良LSIの発生パターンに関する確率モデルの導出のための検討を行った。 またPrincipal Pointsとは基準が異なる、別の確率分布の代表点についても研究を進めた。Principal Pointsが確率分布の最適近似という意味の分割を与えるのに対して、この代表点は確率分布を離散近似するときに、母数の推定分散を最小にするような分割を与える点の組として定義される。こちらについては、既にワイブル分布について検討した結果を論文にまとめて投稿済みである。両者の関係については、今後の研究課題として、研究を進めていく。
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