1 擬似尤度に基づく頑健的統計推測の研究 一般的線形仮説に対する擬似尤度比検定の妥当性を示した。具体的には、(1)セミ・パラメトリック・ワルド型検定、セミ・パラメトリック・スコア型検定を定義し、擬似尤度比検定との同当性を示した。(2)撹乱母数が存在する場合、擬似尤度比検定の漸近分布が適当な自由度を持つカイ二乗分布に従うことを導いた。(3)ブートストラップ擬似尤度の概念を提案し、その有効性を推定量の一致性検定を通して確認した。 2 計算的アルゴリズムの研究 最尤推定量や推定方程式の根などを求める場合、通常ニュートン法かフィッシャー・スコア法に基づいて行われる。しかし、いずれのアルゴリズムにおいても、初期値に対して敏感に反応することや、収束先が望ましい推定量であるかどうかを確かめることが困難であること、などの欠点を持っている。これらの欠点を克服し、情報不変性に基づく反復アルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは理論的によい性質を持ち、またシミュレーション研究でもその有効性が確かめられた。 3 ベイズ的一般化線形モデル及びその拡張に関する研究 ベイズ的一般化線形モデルについての考察を行い、尿路感染症データの解析を通してその有効性を確かめた。また、セミパラメトリック・ベイズモデルへの拡張についての考察も行った。
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