本年度の研究により、ハイパーメディアを指向する分散OSの中でも、特に分散型のハイパーメディア型オペレーティングシステムの全般的な研究へと発展させた。この成果によって、以下のことが実現された。 1)HTTPやFTPとコンパチビリテイを持つハイパーメデイア型の分散ファイルシステム。 2)リンクの管理をOSが行うため、リンクの一貫性の保証やリンクされていないオブジェクトのガーベジコレクションなどはOSが一括して効率よく行うこと。 3)複数のアプリケーションの間で、ハイパーメデイアを扱う部分のAPIまた、エンドユーザからみたユーザインタフェースを一貫したものを提供できる。 4)アプリケーションによらずOSにより一括したキャッシュが行えるため、既存のインターネット上のアプリケーション毎のハイパーメディアシステム体系よりも、効率的なキャッシュが行える。 5)ハイパーメディアを思考のための道具として利用した時に不可欠になる、頻繁なコンテンツ変更をサポートするための、ロバストなリンク管理機能。 6)ハイパーメディアを情報発信のための道具として利用したときに不可欠となる、高いユーザビリティを実現するためのKIOSK機能や、リンク追跡機能。 これらの性質をもった分散ファイルシステムを既存のBTRON仕様のオペレーティングシステムに組み込み、それを「NetBTRON」と名づけて試験的な実装を行い、その機能と性能を実証的に評価した。その成果は、情報処理学会論文誌で発表した。
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