研究概要 |
本研究では、グラフにおける独立全域木の概念をより強くした完全独立全域木(辺素全域木の集合で、任意の二頂点に対して、各全域木における道が互いに内素なもの)の存在性および構成法について研究を行なっている。完全独立全域木は、超並列計算機の相互結合網やネットワークにおける耐故障性の問題に応用を持っている。本年度の研究成果は以下の通りである。 1.k点連結ラインダイグラフの底グラフにはk本の完全独立全域木が存在することを構成的に証明した。ラインダイグラフの底グラフのクラスは、de BruijnグラフやKautzグラフといった相互結合網として知られているグラフを含んでおり、これらのグラフにおける完全独立全域木の構成法も本結果の系として導かれる。("Completely independent spanning trees in the underlying graph of a line digraph",Discrete Mathematics掲載予定) 2.4点連結極大平面グラフには、2つの完全独立全域木が存在することを構成的に証明した。この証明からは、完全独立全域木を見つける線形時間アルゴリズムが得られると予想しており、今後はデータ構造等を整備し、その証明を試みる。(これが一段落した時点で、次の3の結果と合わせて国際会議に投稿する予定である。) 3.与えられたグラフにおける2つの完全独立全域木を見つける問題はNP困難であることを証明した。 4.n次元ハイパーキューブにおける、[n/2]本の独立かつ辺素な全域木の構成法を与えた。実際には、ダイグラフのデカルト積に関する結果を示し、その結果の系として、ハイパーキューブの結果が得られる。("Independent spanning cycle-rooted trees in the cartesian product of digraphs",Brazilian Symposium on Graphs,Algorithms and Combinatorics(GRACO 2001)発表予定)
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