本研究では、個々の空間オブジェクトの形状や動きのデータとオブジェクトに付加された意味や情報を、「メディエータ」によって仲介し、スキーマ化することで、時空間のインデックス手法の確立をはかった。 本年度の成果として、次の3点を挙げることができる。 1.多視点映像環境を対象としたメディエータモデリングの実現 2.仮想CG環境を対象としたメディエータモデリングの実現 3.これらのモデリング手法に基づく高度応用事例の研究 1.については、Hub-Mediator-Marker-Mediaという4レベルの情報のモデル化を行った。Hubとはあるオブジェクト群の共通情報を表すもので、いわばオブジェクト群のスキーマの役割を果たす。MediatorとはHubと個々の事例・事象との直積の要素であり、Hubで示された規格によって記述された個別情報を少ないデータで表現する。この要素が時空間データベースを構築するための本質的な要素となる。これに対して、多視点映像のメディアデータのどの位置にMediatorが現われているかを示す要素がMarkerで、MediatorとMediaとの直積要素となる。この手法を、3.と関連させて、サッカー映像に対して適用した事例について映像情報メディア学会画像情報システム研究会で報告した。 2.については、高速ネットワークグラフィックス表示装置をもちいて、メディエータをそのままCGとして再現し、ネットワーク上で再構築する手法の提案と実装評価を行った。特に3.と関連して、遠隔仮想水族館を想定し、魚の形状と泳法のメディエータ構築を行った。またこの件について、データ工学ワークショップで発表を行った。
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