1.マルチメディアアプリケーションの分類と家電機器による実現方法 アプリケーションの本質的な機能が通信であるか放送であるかに依存して、テレビと電話という二つの既存設備の組み合わせで実現することが、ユーザーの既成概念を活用するという観点からは適切であると考えられる。しかしながら、一度に多くの情報量を提供するWebのようなアプリケーションや、基本的には放送ながらも情報量は少なくともその後の動作に大きく影響を与えるような逆方向通信の要素を有するデマンド型アプリケーションに関しては、本質的に新しいサービス形態であるため、既存機器による表現は容易ではないことも明らかとなった。これらのためにはFAXによる情報の取り寄せや、携帯電話やCATVのリモコンによるアクセスなど、あまり一般的とは言えない既製概念を持ち出すこととなり、その是非については今後の議論が必要である。 2.実現方法 具体的な実現にあたり、通信路の設定に必要なシグナリングの操作をどのように利用者に提示すべきかが重要な課題となることが明らかになった。広域であれば電話の概念を流用することが相応しいが、家庭内など、ローカルなネットワークで用いる場合には全ての機器に内線番号のような概念を持ち込むことは必ずしも自然ではないため、接続の順序情報を活用することで、利用者に意識させずにシグナリングを発行可能とする方法を新たに考案した。実装にあたっては、Service Lookup Protocolなど、Internet標準のプロトコルを活用した実現方法を開発し、相互接続性と将来的な発展性を確保しながらも利用者にはAV家電製品以上の複雑さを感じさせないようなシステムを実現可能とした。
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