本研究では、オブジェクト指向に基づくソフトウェア開発における、プロジェクト管理のための支援環境の設計と構築を目的としている。支援環境の機能としては、 (1)計画支援:開発すべきソフトウェアの機能量(例えば、ファンクションポイント)の計測やそれに基づく開発工数や開発期間の見積もりを行う。 (2)進捗管理支援:開発プロセスから収集されたプロセス/プロダクトに関するデータに基づいて、品質、コストも含めた進捗状況の把握を行う。 (3)開発支援:様々なメトリクス計測ツールによる支援(集中的にレビューを行うべき複雑な部分の指摘、変更のための改善案の提示等)あるいはエラーデータ収集分析ツールを用いたエラーに関する分析結果の開発者へのフィードバック支援を行う。 本年度は、主に、計画支援と開発支援に関する研究を行った。先ず、計画支援に関しては、近年活発に用いられつつあるJavaプログラムからのファンクションポイント計測についての研究を行った。ファンクションポイントを用いた見積りにおいては、過去に開発されたプログラムからのファンクションポイント値の計測が必要であり、そのための自動化を行った。開発支援に関してはC++プログラムを対象としてChidamberらのメトリクスの一つであるクラスの内部複雑さを評価するためのメトリクスの詳細化を行った。詳細化によって、よりクラスの内部複雑度を正確に評価でき、より重点的にテストやレビューを行うクラスの特定が可能となった。
|