研究概要 |
ネットワーク上の複数の計算ノードにデータの複製を配置するデータ多重化は,ノードや通信リンクの故障の影響を防ぐための基本的な技術である.ビザンチンクォーラムシステムはノードを要素とする特殊な集合族であり,データの改竄等の悪意ある攻撃(ビザンチン故障)に耐性を有する多重化データ管理機構の実現に用いられる.本研究では,データの安全性を保証した上で可用性最大のビザンチンクォーラムシステムを構成する方法を開発することを目的としている.具体的な手順は,まずこの問題を定式化し,その後に,計算機によって問題を解くためのプログラムを開発する.平成12年度においては,下記の1,2の段階を完了した. 1.0-1整数計画問題としての定式化 可用性最大のビザンチンクォーラムシステムを求める問題を,数理計画法の一種である0-1整数計画法の問題として定式化する方法について理論的な考察を行った.具体的には,交差条件等のビザンチンクォーラムシステムが満たすべき条件を0-1整数計画問題における制約式で表現することによって,定式化が可能なことが分かった. 2.0-1整数計画問題への自動変換プログラムの開発 1.で得られた0-1整数計画問題への定式化手法をプログラムとして実装した.具体的には,入力されたシステムに対応する0-1整数計画問題を,良く知られた解析ソフトウェアLINDOの入力として自動的に出力するプログラムを開発した.プログラム言語としてはC言語を用い,開発は備品として購入した計算機を用いて行った. 平成13年度では,実装した提案手法が現実的にどの程度の規模のシステムに対して適用可能か,必要な計算時間やメモリ量に関する評価実験によって明らかにする.更に,既存のヒューリスティックによって得られたビザンチンクォーラムシステムを用いた場合との信頼性や負荷に関する比較評価を定量的に行う.
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