研究概要 |
製品などの曲面を創成するためには,その基となる曲面の構造を表す簡単な多面体が必要不可欠である.また,デザイナはこれら多面体を組み合わせて,製品形状を構築している.ここで,筆者らは,以前「認知幾何」という概念を提唱し,また一面体と六面体の間に何通りの異なった面構造を持った多面体が存在するのかを明らかにする方法を研究した.この方法を「面構造分析」と呼んだ.しかし,この研究は一面体と六面体の間に限定した分析であり,取り扱える多面体にも制限があった. そこで,筆者らは,本研究において一般的に用いられるすべてのプリミティブや特殊な面の成り立ちをしている多面体にまで面構造分析の範囲を拡げ,そこにどのくらい数の面構造の異なった多面体が存在するのか,またそれらを抽出するための方法論の研究を行った.その結果,各プリミティブを基に面構造分析した際,どのような種類のジオンがどのくらいの数で存在するのかを明らかにすることができた.また,それら抽出された多面体をデザイン作業における形のバリエーション展開に応用することを考え,一部であるが視覚言語として体系化した.次年度は,工業製品の形のバリエーション展開に,今回体系化されたジオンを応用することにより,いかに形の発想が拡がるのかの検証を定量的に行う.これにより,体系化されたジオンの利用価値が,より明確となると考えられる.
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