研究概要 |
1. 無情報ラウティングの問題の洗い出しを行った.格子点上にノードを並べて,それぞれの上下左右との間にリンクを張った,規則正しい構造を持つメッシュ型ネットワーク網は,次元を大きくしていくのに従い,モデルとしての能力も高くなっていくというのが一般的な常識となっている.しかし,基本的なネットワーク演算の一つである無情報ラウティングに伝達経路に制限を加えた問題に対して,Nをノードの総個数とした場合,3次元メッシュ型ネットワークの直径はO(N^<1/3>)であるにも関わらず,少なくともO(N^<2/3>)のラウティング時間を必要とすることを示した.この結果は,Journal of Algorithmsにおいて公表予定である. 2. 2次元メッシュネットワーク網における無情報ラウティングに対して,それぞれのノードが一度に保持できるパケットのサイズを定数にした場合のO(N^<3/4>)時間のアルゴリズムを示した.従来の自明なO(N)時間の上限を本質的に改良した最初の結果である.また,3次元メツシュネットワーク網に対して,1.16N^<1/2>+o(N^<1/2>)時間の上限を示した.この結果は,Journal of Graph Algorithms and Applicationsにおいて公表予定である. 3. 2次元メッシュネットワーク網における無情報ラウティングに対して,送信制御無情報方式の有効性を調べた.各ノードの近傍の情報を用いることにより,2.954N^<1/2>の通信時間ですべてのパケットの伝達が可能であるようなアルゴリズムを開発した.さらに最適アルゴリズムの開発を継続中である.これらの結果は,ACMのParallel Algorithms and Architectures(SPAA2000),及びWorkshop on Algorithm Engineering as a New Paradigmにおいて発表を行った.
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