研究概要 |
ビデオ・ブラウジングのために次のアプローチを立案した.まず,ビデオの効率的なブラウジングのためには,ビデオに記録された内容の概略を把握した後,利用者が興味を持つ部分についてのみ詳細を確認可能とすることが重要である.ビデオに記録された動的な事象は「継続時間を持つ事象」(アクティビティと呼ぶ)および「継続時間のない事象」(イベントと呼ぶ)とに区別することができる.そして,アクティビティをイベントの系列としてモデル化する.イベントは,それが発生した単一のフレームによって表現可能であるのに対して,アクティビティは,フレーム区間(シーン)でなければ表現できない.したがって,アクティビティを観測するためにはイベントよりも多くの時間を要する.しかし,アクティビティを構成するイベントが把握することができれば,アクティビティの概要は理解可能である.こうしたことから,利用者が概要を把握するためにイベントが発生したフレームのみを提示し,アクティビティの詳細に興味がある場合にのみシーンを再生することによって効率的なビデオ・ブラウジングが実現できる.また,アクティビティは並行的,複合的に発生するが,観測者はすべてのアクティビティに興味を持たないことが多い.したがって,利用者が興味を持つアクティビティを選択可能とすることはブラウジングの効率化につながる.この目的のために,イベント依存関係を導入し,それに基づいてフレーム間にハイバーリンクを設定し利用者が巡航可能とすることにより,利用者は興味のあるアクティビティを対話的に選択して内容を確認することができる. 上記のアプローチに基づきハイパービデオ・モデルを形式的に定義した。ハイパービデオ・モデルはデータ構造および6種類の操作を提供する.さらに,本モデルに基づいたブラウジング機構を実現するプロトタイプ・システムを計算機上に実装した. また,ブラウジングに利用可能な事象の意味的関係を導入するために,上記の研究と平行してシーンの類似性に関する研究も行った.
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