今年度の研究計画に従って、論理指向ニューラルネットワーク(LOGO-NN)をVHDLによって設計し、FPGA上へのハードウェア実装を試みた。その作業過程を通じて、比較的簡単なパターン認識に対しては高性能なLOGO-NNを低コストでハードウェア化できることが確認された。しかし、問題の難易度が高くなるにつれて、LOGO-NNに必要となるデータビット数とニューロン数は増加し、十分なコスト削減が難しいことも確認された。 そこで、この問題を回避するために、LOGO-NNと連想メモリを併用したパターン認識システムを新たに考案した。連想メモリは入力パターンを修復する能力があるため、低コスト化によってLOGO-NN単体の性能がある程度低くなったとしても、システム全体で高いパターン認識率を維持できることは明らかであり、さらに、それをシミュレーションによって確認することができた。また、連想メモリは多層パーセプトロン(MLP)とスパース結合ニューラルネットワーク(SINN)を組み合わせて構成した。ここで、MLP部はLOGO-NNによって実現することで低コスト化を図った。一方、SINN部はハードウェア化が容易なモデルとして知られるセルラーニューラルネットワーク(CNN)を基に構成した。したがって、連想メモリ自体の低コスト化も十分に達成することができた。 このように今年度の研究では、LOGO-NNと連想記憶MLP-SINNを組み合わせることによって、本研究の目的であるLOGO-NNを利用した高性能なパターン認識システムが低いハードウェアコストで実現されることを示すことができた。今後の課題は、このパターン認識システムをLSI上に実装することで、より大規模な問題に対応できるようにすることなどが挙げられる。
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