平成12年度は、階層型粗粒度タスク並列処理におけるデータ依存マクロタスクグラフを対象としたデータ局所化について研究を行った。階層型粗粒度タスク並列処理では、従来、ループやサブルーチン等の粗粒度タスク間データ転送を集中共有メモリ経由で行っていたが、さらなるデータ転送オーバヘッドを軽減するためには、粗粒度タスク間データ転送をローカルメモリあるいは分散キャッシュ経由で行う必要がある。 そこで、本年度は、データ依存のみをもつマクロタスクグラフ(プログラム)に対して、粗粒度タスク間並列性が十分得られ、かつ、マクロタスクグラフ上の広範囲にわたってローカルメモリ(分散キャッシュ)経由データ転送が行えるように、粗粒度タスク及び配列データを分割するプログラム再構成手法(ループ整合分割法)を提案した。さらに、分割された粗粒度タスクの内、データ転送量の多い粗粒度タスク集合を同一プロセッサに割り当てるために、データ転送ゲインを考慮したスケジューリングアルゴリズムを提案した。本スケジューリングアルゴリズムにおける割り当て時のプライオリティは、データローカライゼーショングループ、データ転送ゲイン、クリティカルパスである。 また、本研究では、提案手法を用いた階層型粗粒度タスク並列処理をマルチプロセッサシステム上で性能評価し、その有効性を確認した。 なお、本研究に関連した研究成果は、情報処理学会の計算機アーキテクチャ研究会で2件、全国大会で1件発表されている。
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