ポリゴン表現モデルとは、三次元形状をポリゴンを使って表現する手法である。ポリゴンの上に、実物の観測から得られた画像をテクスチャとして貼り付けておくと、非常にリアルな形状表現が可能になる。汎用のレンダリングハードウエアの多くは、テクスチャマッピング機能を備えており、こうしたポリゴン表現モデルを、高速にレンダリングすることができる。また、三次元エディタ等を使って、ポリゴン表現モデルに変形操作を加えることも可能である。本研究では、このようなポリゴン表現モデルを、多眼動画像から高速に抽出することを目的としている。 昨年度までに、ポリゴン表現モデルを抽出するための基本アルゴリズムの開発を終えた。このアルゴリズムは、(1)空間中に平面をランダムに配置し、(2)その上に多眼動画像を投影し、(3)一致度の高い部分を切り出す、という操作の繰り返しから構成されている。本年度は、まず、このアルゴリズムに若干の修正を加えることから始めた。(3)では、画像同士を比較して一致度の高い部分を切り出すことになっている。この代わりに、画像を平面上で重ね合わせて、一旦ぼやけた画像を作り出した上で、ぼやけが少ない部分のみを切り出すという方式に変更した。これによって、視点数が多い場合の処理を効率化した。 さらに、このアルゴリズムを高速に処理する実システムを構築した。このシステムは、4つのディジタルビデオカメラと、そこから得られる動画像を処理するためのコンピュータ群から構成されている。ここでは、一平面あたりの処理を一つの単位として、コンピュータ群の中を流してやることにより、処理のパイプライン化・並列化を実現した。この結果、360×240の入力画像の場合には、毎秒1回程度の速度でポリゴン表現モデルを抽出することが可能となった。
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