研究概要 |
大規模なグラフィカルユーザーインターフェースの制約プログラミングによる効率的な実現を可能にするための要素技術として,制約解消の軽量化に関する研究を行った.その内容は,(1)制約解消の高速化による時間的軽量化,(2)制約解消に要する記憶領域の削減による空間的軽量化という,2つの研究に分けることができる. 研究(1)は,不等式を含む線形制約の系を高速に解消するアルゴリズムに関するものである.このアルゴリズムは,階層的な優先度を伴った線形の等式および不等式制約の系をインクリメンタルに処理することで,制約の個数が数千個の場合でも,数十ミリ秒程度の時間で実行を完了できるという特徴を持つ.本研究課題の開始以前に,研究代表者は,階層的な線形等式制約の系を効率的に解消する手法を提案していたが,今年度さらに研究を発展することで,線形不等式制約をサポートできるようにし,その実用性をより向上した. 研究(2)は,制約解消系のモジュール化を実現するソフトウェア構成法に関するものである.この手法は,制約解消系ソフトウェアを,制約の評価や,解候補の最適化などの機能単位のモジュールに分解するもので,制約の表現に必要なコードやデータを特定のモジュールに集中することができる.これによって,実行時の制約解消系の記憶領域のサイズを削減することが可能になった. これらの研究の成果は,すでに複数の国際会議や学術雑誌において発表または採録済みである.
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