研究概要 |
本年度は,現在開発中の「生体テクスチャ認識システム」における鼻紋認識部の実用化に主眼をおいて,主に次の二項目に関して検討を進めた。 (1)多数の鼻紋照合実験を踏まえた認識アルゴリズムの性能改善 従来の鼻紋認識アルゴリズムは縦型探索を基本とした「枝の先読み処理」によって実現されていたが,鼻紋の採取状況によっては枝が途中で途切れ,うまく認識されない場合もあることが改めて確認された。そこで本年度は,鼻紋を構成している枝だけではなく個々の閉路にも着目し,その閉路情報をも積極的に利用した形の新しい鼻紋認識手法を開発した。この手法では,認識処理のロバスト性を改善するために,ハフ変換的な手法が取り入れられている。現在,多くの鼻紋パターンに対して本手法を適用し,その効果を検証している段階である。 (2)Tcl/Tkによる統合鼻紋認識システムの実現 現在までに開発済みの(鼻紋パターンの入力から認識・照合までの一連の)処理モジュールをTcl/Tkというコンピュータ言語を用いて統合化し,ユーザ・フレンドリーなシステムとして実現させた。このシステムはGUI(グラフィカルユーザインタフェース)による直感的操作が可能となっている。また,本システムはPC-Unix上での利用を想定して作成されたものであるが,高い移植性をもった形で設計されているので,将来はWindows等のOS上でも利用可能となる予定である。
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