研究概要 |
本研究は,自然言語対話システムを実現するにあたって必要となる文生成メカニズムについて研究を行っている.特に,自然な自然言語文を生成することに焦点を当て,意味的な定義と構文的な定義の関係を一般的には見いだすことが困難な副詞の用法について研究を進めている.平成12年度における研究実績を以下に示す. (1)時間副詞を扱うモデルの実現とモデルに基づく副詞を使った文生成 副詞を使った文を生成するとき,名詞や動詞などと同じような方法,すなわち類義語などを表した意味的な階層構造から語を選択するのは困難である.そのため,「もう」および「まだ」という典型的な二つの副詞に焦点をあて,その意味表現モデルとモデルの文生成における利用法について議論を行った. (2)頑健な係り受け解析の研究 コーパスからの自動的な意味獲得,用例獲得のためには,頑健であり高精度な構文解析手法が必要である.そのための方法として,Nグラムを用いた構文解析手法を提案し,従来の句構造文法を利用したものと精度的にはほとんど同等で,頑健な処理が実現できることを示した.本手法はコーパスからの副詞の用法に関する知識の獲得,および対話システムにおける発話の解析に用いられる. (3)副詞コーパスの作成 新聞からのコーパス作成を行っている.副詞の出現頻度は名詞などに比べて相対的に低いので,ホームページからの獲得などを計画している. (4)事例ベースを使った文生成メカニズムの実現 対話システムの手法として,事例ベースを用いた自由対話系の設計,開発を行った.今後,本研究の文生成システムを組み込み,対話実験に用いる予定である.
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