研究概要 |
本研究では,我々が従来より研究を行っているマルチエージェント型物体認識システムに対して,ベイジアンネットワークを用いた確率推論を導入することによって,人間が普段無意識で行っている様な物体単体に対する知識と,物体間の「常識」を組み合わせて最も可能性が高い解釈を最終的な認識とする認識機構を持つ,実世界の持つ不完全性に対して頑健かつ柔軟な物体認識システムの実現を行う. 本年度は以下の手順で研究を行った. (1)ベイジアンネットワークによる推論機構の設計と実装. 現在のマルチエージェント型物体認識システムは,分散プロセス型システムとして設計されているので,推論機構も分散型である必要がある.そのため,分散型の推論機構を構築し,マルチエージェント型物体認識システムに導入した. (2)実験画像(室内画像)の収集と分析. 室内画像を収集し,含まれる主な物体と物体同士の関係を分析し,確率知識ベースを構築した.今年度は,人手で含まれる物体の種類と数と関係を抽出することによって構築した. (3)室内画像に対する認識実験. 収集した画像に対して,構築したシステムによる実験を行ったが,当初予定していた程の認識率が得られなかったので,来年度はさらにシステムを改良していく予定である.
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