研究概要 |
本年度の研究は,以下の6つに大別される. 1.画像データの収集 2.スケッチ作画システムの構築 3.乳房X線画像の自動分類法の開発 4.乳房X線画像に存在するコントラストの低い腫瘤陰影の検出法の開発 5.乳房X線画像に存在する微小石灰化像の良悪性鑑別法の開発 6.胸部3次元CT画像に存在する腫瘤陰影の検出のためのシミュレーション 1においては,今年度,新たに約400症例の画像を研究協力病院から提供を受け,新たにデーターベース化した.そして,2,3,4,5の実験試料として利用した. 2においては,別に開発した病変部検出アルゴリズムの結果を元に,病変部の存在する周辺の画素値の変化を,判別分析と複数の画像特徴量の主成分分析結果を用いて,一意な輪郭線を作成するアルゴリズムを構築した.そして,その結果を医師に提示するようなソフトウェアを構築した. 3においては,医師が画像を分類する場合には,画像中に白くあらわれる領域の割合によって判定を行うが,その再現性を高めるために,画像中の乳腺が存在する領域と脂肪領域の領域分割を自動で行う手法を開発した.ここでは,画像のダイナミックレンジ圧縮処理と濃度ヒストグラムの判別分析と組み合わせる手法を新たに開発した. 4においては,乳房X線画像において白い塊として表示される腫瘤陰影とやはり白くあらわれる乳腺領域との分割法を開発した.ここでは,扇形のテンプレートを作成し,その濃度分布との類似性の計算および,その領域内における濃度勾配ベクトルの集中度によって陰影の領域分割を行った. 5においては,乳房X線画像中に細かい点としてあらわれる微小石灰化像が良性であるか,悪性であるかを判別するアルゴリズムを構築した.ここでは,画像中に微小石灰化が分布する形を判別し,その他,個々の石灰化から得られる画像特徴を人工ニューラルネットワークへ入力し,分類を行う手法を開発した. 6においては,領域分割のための手法として,テンプレートマッチングと遺伝的アルゴリズムを組み合わせた手法を開発し,3次元画像における領域分割問題である腫瘤陰影の自動検出を開発し,そのシミュレーション実験を行った.
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