研究概要 |
従来の時間符号化ネットワークの解析においては,各ニューロンのパルスの発火のずれと各ニューロン間を信号が伝わる時間が同じ程度のオーダーで設定されていた。そのため,一つのニューロンの複数回の発火を考慮する必要があり,理論的な解析が難しくなっていた.本研究では,パルスの発火時刻のずれに比べてニューロン間をパルスが伝播する時間が十分大きい場合について,パルス群が同期発火状態を保ちつつ伝播していくことができるかどうかについて解析を行った.具体的には,最も簡単な時間符号化ニューロンモデルであるコインシデンス・ディテクタのネットワークによってパルス群の分布がどのように変化するかを計算した.その結果,パルスが伝播する時間にばらつきがあっても,パルス群は動機的発火状態を保って伝播してゆき,いわゆるシンファイア・チェーンを作ることができることが示された.この計算結果は,計算機実験によって確認された.
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