代数的手法を用いた二重既約分解に関する研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12780301
• 研究機関: 会津大学
• 研究代表者: 森 和好 会津大学, コンピュータ理工学部, 講師 (20252322)
• キーワード: 線形システム / 二重約分解

研究概要

平成12年度は、多次元システムにおける安定化可能なシステムの二重既約分解が存在するか否かに関し検討を行なった。数式処理システムMathematicaを用いて多次元多項式システムについて研究を行ない、単位遅れ素子が存在出来ない場合には、その安定コーザル領域がHermite環で表わされることを明らかにした。このことより、このモデルについては、二重既約分解が一般には安定化可能にも係わらず存在しない場合があるが、二重既約分解が存在するならば、Youlaパラメトリゼーションが適用でき全ての安定化補償機を得ることを明らかにした。しかしながら、一般に、多次元システムが安定化可能であるならば二重既約分解を常に持つか否かについては、未だ解くことが出来なかった。
多次元システムの構造安定を考えた場合、安定コーザル領域が一意分解整域となる。安定コーザル領域が一意分解整域である場合についても、安定化可能なシステムの二重既約分解が存在するか否かに関し検討を行なった。多項式により生成された射影加群はすべて自由であるという「Serreの予想」と呼ばれる結果を用い、多項式システムの場合(安定コーザル領域が一意分解整域)には、安定化可能なシステムは必ず二重既約分解が存在することが判明した。現在、引続き、「Serreの予想」を用いて、安定コーザル領域が一般的な一意分解整域であるケースについて検討を行なっている。特にいくつかの遅れ時間をもつことができない多次元システムが二重既約分解を持つ場合の特徴付けとSuslinの安定定理(Suslin's Stability Thoerem)との関連に注目をしている。

研究成果

• [文献書誌] Kazuyoshi MORI: "Feedback Stabilization over Commutative Rings : Further Study of Coordinate-Free Approach"SIAM Journal of Control and Optimization. (発表予定).
• [文献書誌] Kazuyoshi MORI: "New Algorithm to Construct a Stabilizing Controller for Linear Systems over Intergral Domains"IMA Journal of Mathematical Control and Information. (発表予定).
• [文献書誌] Kazuyoshi MORI: "A New Criterion of the Feedback Stabilizability for Linear Systems over Commutative Rings"Proceedings of the 3rd Asian Control Conference. 234-239 (2000)
• [文献書誌] Kazuyoshi MORI: "Elementary Factors and Reduced Minors for Linear Systems over Commutative Rings"Proceedings of the International Symposium on Mathematical Theory of Networks and Systems. CS02B-2 (2000)
• [文献書誌] Kazuyoshi MORI: "Hermite Ring and Doubly Coprime Factorization in the Factorization Approach"Proceedings of the twentieth IASTED International Conference on Modeling,Identification and Control. 466-471 (2000)
• [文献書誌] Kazuyoshi MORI: "Stably-Freeness and Multidimensional Systems with Structoral Stability"Proceedings of 2001 IEEE International Symposium on Circuits and Systems. (発表予定). (2001)