本研究の目的は、小規模の共同作業チームの各メンバの仕事を邪魔することなく、低い認知的負荷で他のメンバの状況を知覚し、必要に応じてすぐにリアルタイムのコミュニケーションに移行できるようにするシステムを開発することである。このために、各作業者が在席しているかどうかに関するリアルタイムの情報とその人物の生活パターンを検出し、その情報を少ない認知的負荷で参照できるようにするようにする。こうした情報が提供されれば、共同作業者が在席中か、在席の可能性が高いときに、コミュニケーションを開始しやすくなることが期待できる。 作業者の在席は、オフィスに設置したビデオカメラの画像をコンピュータで処理することによって検出した。そして、得られた存在情報をコンピュータ通信によって各オフィスに伝え、そこに設置してある提示装置を駆動するようにした。提示装置としては、作業者に固有の音声を流す方法と、各作業者に対応した人形を動かす方法を試みた。 また、在席のデータを数ヶ月にわたって集計することによって、作業者がある時間に在席する確率を計算した。これによって、その作業者と連絡がとりやすい時間帯を推測することができるようになった。また、複数の作業者の存在確率の相関を計算することによって、ミーティングを設定するのに適した時間帯の候補を自動的に提示するシステムが可能となった。
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