研究概要 |
1.情報財と情報市場戦略に関する検討 情報をグローバルネットワーク上で流通する一種の財としてとらえ,経済学的な分析を通じて,情報財の流通促進のためにどのような制度的・技術的対応が必要なのかを検討した。 情報財には高い初期費用と0に近い限界費用という際立った特徴があり、この結果、通常の競争市場を構成した場合,多くの生産者が投資を回収できずに市場自体が成立しない危険がある。このとき、生産者に定の独占力を認め,市場全体としての社会的効用を向上させることが考えられる。この際、生産者のとるべき戦略として(1)価格差別化(2)バンドリングが挙げられる。いずれの戦略も社会的余剰を消費者から生産者に移すことにより情報財生産の動機付けを高める効果があるが、その一方でそれによりもたらされる死荷重や不公平性などの問題をはらんでおり、これらのバランスを踏まえた施策が必要となる。 2.ピアツーピアオークションシステムの開発 ピアツーピア環境においてネットワークオークションを行うことのできるシステムを開発し,通常のネットワークオークションで性能的・制度的なボトルネックとなるサーバを使わず,ボランタリーなネットワークによって情報交換を行うことのできるシステムの開発を行った. 通常のピアツーピア方式では、個々で必要とするような持続的サービスの実現が困難であるため、通常の方式で用いられるクラッディングに基づく検索に加え、比較的少数のノードからなるサービス管理ネットワークを動的に再構成する方式を採用した。
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