研究概要 |
実時間インタラクションを達成するには,人や対象の高速な計測技術が必須である.アクティブビジョンは効率よく高精度に対象の情報を得るための手法であり,カメラの位置や撮影方位を最適に制御するさまざまな方式が提案されているが,依然として撮像素子は常に一定の速度・解像度の画像を送り続ける装置として扱われ,最適化されているとはいえない.そこで本研究では撮像素子から画像を読み出す領域を能動的に制御することにより,計測精度を保ったまま計測速度を向上させる方法について研究した.具体的には,一部の受光素子のみから信号を読み出すことが可能なCCDカメラ,EDC-2000Nを利用し,必要な部分のみの画像を入力・処理することで計測速度の大幅な向上を図った.対象物体の位置を検出するために,プロジェクタより9個のスポット光を投影し,その投影光の角度とカメラからの角度を用いた三角測量により対象物体の位置を求めるが,このとき対象物体が移動しても,画面上のスポット光の位置はバラバラに変化するのではなく,ある直線状のみを移動する性質がある.そこでこの性質を利用し,スポット光が移動する可能性のある領域のみの画像を読み出すことにより,計測の性能をまったく低下させることなく,同じカメラを用いた場合に比べ20倍の計測速度の向上(80cycles/sec以上)を達成した.またこれは,通常のビデオカメラを用いて実現可能な性能の,理論限界である30cycles/secをも上回る.また,計測実験の結果,計測精度はなんら低下しないことも確認された.
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