現代の大量生産・大量消費型の社会は最終的に大量の廃棄物を生み出し、その結果として廃棄物処理の問題は年々深刻さを増している。日本では、最終処分場の逼迫という観点から体積減容化率が高く、衛生的な焼却という方法が主流となっているが、廃棄物の中には資源として利用可能な部分がかなり残されている。このような状況の中で、今年の4月から容器リサイクル法(以下容リ法)が完全施行され、紙やプラスチックの再資源化義務が課せられるようになった。 特にプラスチック廃棄物は、約60%が未利用であり (1998年度実績)、これらを再利用するために、現在様々なリサイクルの技術の開発が進行している。しかし、それぞれのリサイクル方法には長所短所があり、客観的な方法を用いての評価は殆どなされていない。さらに評価項目はトレードオフの関係にあり、どういった項目を選択するかによってその評価は異なる。また、既存のごみ焼却場において熱回収や発電を行う事と新しいリサイクル技術との比較も十分には行われていない。 本年度では、エネルギー消費量、二酸化炭素排出量、固形廃棄物排出量、及びコストの観点からいくつかのプラスチック処理技術間のトレードオフを明らかにするため、その評価項目を算出するモデル群を構築した。また、いくつものシナリオを導入し、最終的には廃プラの排出形態に合わせた最も合理的な手段の提案を行った。評価を行った処理技術はマテリアルリサイクル、油化、ガス化、高炉原料は、サーマルリサイクル、RDF、単純焼却と単純埋立だった。そのモデルを利用し、東京都の容器包装プラスチック量及び組成を用い、輸送などの条件を各処理共通として各技術間の個別比較を行った。そして、東京都の容器包装プラスチックの現状の処理方法とシナリオを導入したときの比較を行った。 これからは、インターネット上計算モデル統合インフラDOME(Distributed Object-based Modeling Environment)によって、計算モデルの各部分を統合し、システムモデルを構築する。
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