研究概要 |
本年度は,(1)斜交ファジィベクトルとその応用,(2)シナリオ分解ファジィベクトルとその応用,(3)凸多面体ファジィベクトルをもつ可能性線形計画問題に関して主に研究した. (1)では,斜交座標系で独立なファジィ数として定められる斜交ファジィベクトルを提案し,直交座標系の周辺ファジィ数と斜交行列とにより定められる条件について研究し,周辺ファジィ数が区間,L-Lファジィ数,区分的に線形なファジィ数で定められる場合の必要十分条件を示した.また,斜交ファジィ数の線形関数値が容易に計算できることを示すとともに,この結果を可能性線形計画問題へ応用し,この問題が双対角形構造をもつ線形計画問題に帰着されることを示した.また,双対角形構造を利用したBendersの分解法に基づく解法を与えた. (2)では,ファジィIf-Thenルールと前件部変数のファジィ数により定められるシナリオ分解ファジィベクトルを提案し,その性質や線形関数値について調べた.その結果,線形関数値がシナリオ分解ファジィ数になることが明らかになった.この結果を可能性線形計画問題へ応用し,必然性測度に基づく場合には,問題が線形計画問題に帰着されることを示した.また,可能性測度に基づく場合には,複数の線形計画問題を解けば良いことを明らかにした. (3)では,レベル集合が凸多面体となる凸多面体ファジィベクトルをもつ可能性線形計画問題を考え,この問題の可能的最適解集合の列挙について考察した.与えられた可能的最適端点の隣接端点の可能的最適性をテストする方法を議論し,この問題が線形計画問題になることを示した.この結果に基づき,シンプレックス法を用いてすべての可能的最適端点を列挙する方法を提案し,そのアルゴリズムを与えた.
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