トカマク研究では通常は'トロイダル方向にプラズマが対称である'という仮定去れているが、なんらかの物理量をトーラス全周に渡って測定した例がないため、トロイダル方向に局在した現象の輸送や閉じ込め特性に対する影響は未知な点が多い。特に球状トカマクでは弱磁場側で磁力線が立っており、トロイダル方向に局在した現象が起きやすいと考えられている。トロイダル方向に局在した現象を観測するために、本研究では軟X線ピンホールカメラを用いたトロイダル断面軟X線トモグラフィーを行う。 今年度はテスト用の軟X線ピンホールカメラの製作および信号取込み系の試作をおこなった。一般に軟X線ピンホールカメラは視野角度を広くすると、検出器であるDiodeアレイの各チャンネル間のフィルターの実効的厚み、視野角などを均一に保つことが難しくなる。またTST-2のプラズマのどの部分から軟X線輻射が大きいのかが未知である。そこでTST-2のプラズマの全域を測定できるピンホールカメラを試作した。このカメラは検出器にSurface Barriar Diode(以下SBD)を用い、各々に独立にピンホールとフィルターを用意した。SBDで得た電流信号はプリアンプで電圧に変換される。プリアンプは微量な電流信号を磁気ノイズの大きい環境で扱うため、検出器と一体化した小型で低ノイズなものを真空容器内部におく必要があるが、ここでは調整が容易にするために真空容器の外においた。プリアンプの信号は、増幅された後デジタイザーで500kHzで記録した。 測定の結果、1)プラズマ中心をみこむチャンネルでは、内部磁気再結合現象などに同期した軟X線輻射の変化が見られる。2)プラズマ周辺部からは大きな軟X線強度が得られない(ピンホールカメラを視野を減らすことができる)3)信号強度が視線により大きくことなり、ゲイン可変のプリアンプが必要であるなどが分かった。現在これらの結果をもとにピンホールカメラの実機を設計中である。
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