本研究は、非熱平衡プラズマ中のラジカル反応と各種触媒による化学反応との相互作用により高効率な排ガス分解を実現することを目的とする。本年度はその準備段階として、排ガスとの接触面積の大きなハニカムセラミックス中で安定した非平衡プラズマを生成し、非平衡プラズマとセラミック壁との相互作用を確認するための実験を行った。まず、大気圧下にて安定した非平衡プラズマを発生させるために、SIサイリスタとパルストランスを組み合わせた高速パルス電源を制作した。パルストランスに強磁性アモルファス鉄心を用い、SIサイリスタを大電流ゲート駆動することにより、波高値40kV、パルス幅100ns、繰り返し周波数2kHzを実現した。このパルス電源をハニカムセラミックスを用いた放電リアクターに接続することにより、大気圧下において安定なプラズマが生成されることを確認した。このリアクターに一酸化窒素を純窒素で希釈した模擬排ガスを通すことにより、最大95%の一酸化窒素を分解することに成功した。リアクターに用いたハニカムセラミックスには、排気フィルター用のコージェライトと水フィルター用のモノリス型多孔質アルミナセラミックスを用いた。実験結果から、多孔質アルミナセラミックスを用いた場合、リアクター内部での二酸化窒素生成が大幅に低減できるとう知見を得た。これは、セラミックス表面での反応が非平衡プラズマ中での体積反応とは異なることを示す結果であり、触媒作用との併用の可能性を示すものであると考える。
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