低インダクタンス型マルチ線状内部アンテナを用いた大容積RFプラズマ源の開発

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12780356
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 節原 裕一 大阪大学, 接合科学研究所, 助手 (80236108)
• キーワード: 誘導結合プラズマ / 内部アンテナ / 低インダクタンス / 大容積プラズマ

研究概要

本年度は、並列型線状アンテナを用いた内部アンテナ型ICPに関する実験を主眼において研究を実施した。まず、ダブルハーフループ型内部アンテナを用いて、直径400mmの放電容器でのプラズマ生成について、従来のアルゴン以外に水素中でのプラズマ生成実験を行った。直径400mmのチャンバー中において5x10^<10>cm^3に達する高密度のプラズマが得られると共に、その径方向分布では壁付近の50mm程度の領域では急激に密度が減少するものの、中心300mm程度の領域では、比較的良好な均一性が保たれていることが明らかとなった。さらに、真空容器軸方向で任意の位置に設置可能であることから、複数のアンテナをチャンバー内に設置することによる大容積化の手法についても提案を行った。また、方位角方向のプラズマ密度分布を調べ、アンテナに印加される高周波電圧の分布をブロッキングコンデンサによって制御することにより、均一性の改善が図れることを明らかにした。次いで、低インダクタンスの線状アンテナを内部アンテナとして用いた低インダクタンス内部アンテナユニットを4台用いてプラズマ生成を行い、アルゴン、水素、窒素中でのプラズマ生成のいずれにおいても、プラズマ電位の平均値および高周波成分の揺動共に極めて抑制した状態で10^<11>cm^<-3>程度の高密度プラズマを生成可能であることが明らかとなった。
さらに、内部アンテナ型RFプラズマ源を用いて、チタン系基材の表面改質に関する予備実験を行い、複雑形状部材においては、電界集中による不均一なイオン照射が避けられないことが明らかになった。
また、RF増幅器一体型低インダクタンスICPモジュールの製作については、今年度は部材の調達まで進んだものの特性試験までには至っていないため、今年度に続いて来年度も開発を継続する予定である。

研究成果

• [文献書誌] 節原裕一,三宅正司,坂和洋一,庄司多津男: "低インダクタンス内部アンテナを用いた大口径誘導結合RFプラズマ生成"電気学会プラズマ研究会資料PST-00-4. 13-16 (2000)
• [文献書誌] S.Miyake,Y.Setsuhara,Y.Sakawa and T.Shoji: "Development of High Density RF Plasma and Application to PVD"Surface and Coatings Technology. 131. 171-176 (2000)
• [文献書誌] S.Miyake,Y.Setsuhara,Y.Sakawa and T.Shoji: "Intrenal-antenna driven inductive RF discharges for development of large-area high-density plasma sources with supressed electrostatic coupling"Vacuum. 59. 472-478 (2001)
• [文献書誌] Y.Setsuhara,T.Shoji,Y.Sakawa and S.Miyake: "Production of Large-Diameter RF Plasmas Using Multiple Low-Inductance Antenna Units"Proc.Plasma Science Symposium 2001/18th Symposium on Plasma Processing,Kyoto. 317-318 (2001)
• [文献書誌] Y.Setsuhara,S.Miyake,Y.Sakawa and T.Shoji: "Development of internal-antenna-driven large-volume RF plasma sources for plasma-based ion implantation"Surface and Coatings Technology. 136. 60-64 (2001)