全体の計画の内、今年度は、特に流体コードの空間精度の向上およびコードの安定性を重点的に行った。従来のALE(Arbitrary Eulerian Lagrangian)法の欠点は、移動する計算格子の速度に依って、解が一意に定まらない。これは、EulerianフェーズとLagrangianフェーズの数値粘性が重複する度合いよるものであり、この影響を極力抑える必要があった。そこで幾つかの解法を検討した結果、流体の基礎方程式を非保存系表示して、補間関数を用いて解くCIP法は、計算格子の移動を移流項に含めることによって、一貫した補間関数の移流を解くことが可能であることが分かった。これに着目して、CIP法をALE法へ拡張することによって、いかなる計算格子の移動を与えても、衝撃波、接触不連続面を精度良く、安定に一意の解を求めることに成功した。 これを受けて、レーザー照射、熱伝導などレーザー核融合爆縮の基礎的な物理モデルを組み込んで実際の爆縮現象と同等の計算条件を与え、爆縮解析の可能性を検証したところ、初期のレーザー照射から最大圧縮まで、爆縮解析に十分対応できることが明らかになった。この手法による爆縮解析の概略を、IAEAの第14回核融合エネルギー会議で発表するとともに、米国物理学会プラズマ部会で解析手法を発表した。また、これら解析手法のより詳細な妥当性を調べた結果をまとめた論文の投稿準備が現在行われている。引き続き、レーザー核融合解析に必要な物理モデルの組み込みを行っている。
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