研究概要 |
本研究の目的は,トカマク装置等の核融合閉じ込め装置における燃料粒子補給のためのコンパクト・トロイド(CT)入射装置の最適化である.主に,今後CT入射実験で重要と考えられる以下の2項目を2年間かけて研究を行っている. 1.CT入射装置のガスパフからの入射対象プラズマへの余剰ガス流入の抑制 2.CT中の不純物の分析とCT入射装置内壁のコンディションニング基準の確立 ここで研究に用いている主な装置は,日本原子力研究所のJFT-2M装置に設置しているCT入射装置(装置名:HIT-CTI,姫路工大製作)と核融合科学研究所のLHD装置において導入を予定しているCT入射装置(装置名:SPICA)である.また,基礎データの収集として,姫路工大のFACT装置も用いている. これらの研究を通して,CT入射装置運転のにおける安定性・信頼性の更なる向上を図り,またCTがプラズマ中に持ち込む不純物の情報も明らかにする. 初年度である平成12年度の研究実績は以下の通りである. 1.CT入射装置のガスパフからの入射対象プラズマへの余剰ガス流入の抑制 1)新ガスパフ電磁バルブおよび試験装置の設計・製作とデータ収集・処理系の構築を行った. 2)LHD用CT入射装置を用いて,ガス制御が容易なピエゾバルブを用いて1段電源のみでCTの生成を行い,CTが生成可能であることを調べた. 3)JFT-2M装置においてCT入射実験を行い,現状におけるCT入射装置の最適化実験を行った. 2.CT中の不純物の分析とCT入射装置内壁のコンディショニング基準の確立 1)可視分光計測の準備とデータ収集・処理系の構築を行った. 今後の予定としては,今年度設計した新型電磁バルブの特性を調べ,余剰ガス流入の抑制を検証する.また,ピエゾバルブを用いた2段電源によるCTの生成・加速試験を行い,電磁バルブよりもガス制御が容易なピエゾバルブのCT入射装置への適応を検証する.不純物の分析では,可視分光システムにより,CT加速中における電極壁からの不純物混入について調べる予定である.
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