大型ヘリカル装置(LHD)実験において、ローカルアイランドダイバータ(LID)による高温プラズマの閉じ込め改善が試みられようとしている。LIDを用いた閉じ込め改善は、外部コイル(LIDコイル)により周辺部に生成したm/n=1/1の磁気島を用いて周辺プラズマを制御し、周辺部を高温に保つことにより実現されると考えられている。このためには、LIDコイルによりつくられる磁気島(m/n=1/1)をもつLHD平衡の物理的性質を詳細に調べ、その性質を理解しておくことが重要である。そこで、本研究においては、m/n=1/1等の磁気島をもつLHD平衡計算を行った。LHD平衡の解析には、時間発展緩和法に基づく三次元MHD平衡計算コード「HINT」を用いた。平衡計算の結果、(1)m/n=1/1の磁気島は、周辺部に広がるストカスティック層の中に埋もれていて、中心部に比べて圧力がかなり低くなった。この結果は実験において得られている分布とは異なっており、m/n=1/1の磁気島領域の圧力を高くするために緩和計算初期に与える圧力分布を工夫する必要があると思われる。(2)圧力の値自身は小さくなってしまったが、平衡計算で得られたm/n=1/1の磁気島領域の圧力分布の形状は、実験と同じく平坦になることが示せた。(3)m/n=3/2と思われる磁気島が磁力線追跡では得られているが、圧力分布図には反映されていなかった。このことより、細かい磁気島構造を反映できるようなより精度の高い緩和計算が必要であることがわかった。m/n=1/1の磁気島をもつ平衡計算においては、トーラス一周分の領域にわたる緩和計算が必要であるが、これを精度よく行いかつ計算時間を短縮するための改良を現在引き続き行っている。 磁気島へのブートストラップ電流効果や、磁気島領域における圧力の平坦化が圧力駆動型等のMHD安定性へどのような影響を与えるのかについては、その解析に必要なプログラムを開発し、現在高速化・並列化を行っている段階である。今後、プログラムの準備が整い次第、解析する。 以上の成果については、日本物理学会第55回年会(22aXG-3)において報告した。
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