研究概要 |
磁場閉じ込め方式核融合炉に使用される超伝導マグネットでは大量の極低温冷媒が使用される。この冷媒に対する中性子照射による核反応生成物を評価した。仮定として冷媒の体積を100m^3とし,超臨界圧ヘリウムと液体窒素について計算した。液体窒素は将来のマグネットの冷媒として有望とされている。中性子束についてはSSTRの計算結果を使用した。その結果,問題となる反応は液体窒素を冷媒とした場合で,^<14>N(n,2n)^<13>Nと^<14>N(n,P)^<14>Cである。^<14>Nの濃度はほとんど100%であるため,放射性核種は総量で35GBqとなった。濃度も規制値を超える。窒素を冷媒に使用する場合には規制を受けることは避けられない。そして半減期の長い^<14>Cについては,回収装置を設けるのが望ましい。本研究では,炭素を酸化もしくは還元し,化合物として分離することを試みた。炭素化合物の露点・霜点が窒素に対して高いことを利用する。実証試験として,粒径1〜2mmの銅の粒子を詰めたフィルターを液体窒素温度に固定した。そのフィルターにN_2,O_2,CH_4,CO_2,C_2H_4,C_2H_6がそれぞれ10ppm混入したヘリウムガスを通過させた。出口のガスをガスクロマトグラフィーで成分分析すると,CO_2,C_2H_4,C_2H_6だけが回収されていることが確認された。炭素を化学的に化合物に変換することができれば,低温凝縮によって容易に回収できることがわかった。液体窒素と放射線(γ線)の相互作用には,さらに溶存酸素による爆発の問題がある。これは不安定なオゾンや窒素酸化物の氷ができるためにおこる。そのため液体窒素から完全に酸素を分離して使用する必要がある。その分離方法として酸素の常磁性を利用した磁気分離法を提案する。
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