核融合装置では、強磁場、高温下で働く水素ポンプが必要とされる。メンブレンポンプはニオブ、バナジウム、タンタル、パラジウムなどの金属が示す超透過現象を利用した壁ポンプであり、高効率の排気能力があることがわかっている。過去には、最適化された条件下でのデータは多く取られ、最近では核融合装置を想定した必ずしもクリーンとは言えない条件下での動作実験が行われてきている。また大型ヘリカル装置など、実機のパラメータを考慮した検討を行っている。核融合科学研究所でも、これまで多くの実験が行われてきたが、基礎データのそろったニオブを用いた実験が主であった。ニオブの欠点は水素脆化の問題である。ニオブメンブレンが内部に大量の水素を蓄えたまま室温に冷却されると相転移が起こり強度が劣化してしまう。タンタルにも同様の問題があるが、相転移の温度が低いためその点は有利であると考えられる。そこで、今回はタンタルの超透過現象を用いたメンブレンポンプの開発の検討をおこなった。 今回は、まず実験装置の健全性と、参照データを取るために、これまで経験のあるニオブを用いて実験をおこなっい、データを収集した。平衡してタンタルのポンプの設計及び製作を行った。現在は、水素を強制的に撃ちこむというポンプ状態としての動作確認ができるところまで実験が行われていないが、自然状態でタンタル内部に蓄積された水素を過熱することで、タンタルが内部に大量の水素を蓄積することが確認されている。今後、ポンプとしての動作確認を行う予定である。また本年度は核融合研の大型ヘリカル装置内部での水素の振舞について調査を行い、すでにステンレス鋼の壁が水素ポンプを行っていることが確認された。これはメンブレンポンプが働くことを保証している。
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