接線X線カメラは、トーラス型のプラズマ閉じ込め装置の接線方向から軟X線像を撮影する実験装置である。多くの種類の不安定性が磁力線に沿った構造をもつため、視線と磁力線が平行に近い接線カメラでは揺動の細かい空間構造を解像できることが期待できる。揺動に起因するアイランド構造は高速に回転しているため、本カメラは高速であること、高速撮影を可能にするだけの明るさが有ることが必要であり、大面積(直径10cm)の蛍光板で軟X線を可視光に変換し、バンドルファイバーで弱磁場領域まで光を導いた上で増幅して高速CCDカメラで撮影するという複雑な方式を採用して平成10年以降開発を続けている。 平成12年度はドイツのKFA研究所のTEXTORトカマクでテストを行っていた接線X線カメラを核融合科学研究所に持ち帰りへリオトロン型装置LHDでの実験を開始した。TEXTORでのカメラに比べて以下の3点を改良している。(1)CCDカメラを秒間30〜4500こま撮影可能な高速カメラに変更したこと。(2)漏れ磁場の大きいLHDに対応してバンドルファイバーの長さを2mから9mに伸ばしたこと。(3)全コンポーネントを遠隔制御可能にしたことである。この目的で光増幅器接続用のファイバーオプティックプレート(FOP)等の光学部品、データ格納用のRAIDディスク等の計算機部品を本補助金から購入した。 TEXTORは12年7月に実験中断の予定だったが、13年2月まで実験期間を延長したことでカメラの移設が遅くなり12年10月から実際の取り付け作業を開始した。13年1月後半からLHDの第4サイクル実験の終了時まで実験を行うことができた。システムは完全に動作し、秒間4500こままでの撮影機能を確認することができた。以下のような問題が残っている。(1)蛍光板上のプラズマからの可視光を遮断する構造物の設計に問題があり軟X線光と可視光が混ざっていること。(2)FOPの選定を誤り解像度が予想よりも低かったことである。両者とも改善方法は明らかであり、今年度の経験を生かして次サイクルの実験では完全なデータが取得できる見通しがたった。
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