この検出器は、プラズマ閉じ込め装置の漏れ磁場を利用して粒子のエネルギー弁別を行うので、対象となる装置及びその磁場配位に対して固有の設計が必要となる。この為、設計には細心の注意が必要となる。大型ヘリカル装置(LHD)の磁気軸3.6m・磁場強度2.75Tに焦点を当て、LHD下部ポート(5.5Lポート)に取り付けられた検出器に対して検討を行った。 まず、5.5Lポート直下に設置されたカーボンフォイルにて中性粒子からH^+イオンに変換された粒子の描く軌道を計算するためのコードの開発を行った。 次に、このコードを使用して、予想されるシンチレーション発光パターンに関する解析を行った。この結果、発光パターンは当初期待していた正方形のパターンとは異なり、扇形に近い形になる事が判明した。当初は、計測素子として16x16素子の2次元フォトダイオードアレイを使用し、空間分解能より時間分解能に重点を置く予定でいたが、この解析の結果をふまえて、今回試作する検出器においては、空間分解能を優先した33万画素の冷却ccdを計測素子として採用する事とした。この結果、発光パターンの詳細な解析が行える様になった。また、検出器としての原理実証に重点を置くこととした。 今年度は、上述のコードを用いてシンチレータ及びカーボンフォイルの配置に対するシンチレーション発光パターンの変化を調べ、検出器の設計・製作を行った。来年度にて、検出器をLHDに設置し、実際の信号を得る予定でいる。
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