非軸対称系では、磁場構造が3次元的であるため、粒子間衝突による新古典輸送が、一般に軸対称性のあるトカマク装置に比べ大きい。そのため、非軸対称系の核融合炉を考える場合、この新古典輸送の低減が最適化の重要な要因の一つである。一方、新しい大型装置や将来の核融合炉における新古典輸送を正しく評価するためには、ドリフト運動論方程式の駆動項をグローバルな形で与える真にグローバルなシミュレーションコードの開発が必要不可欠である。本研究では、ドリフト運動論方程式の駆動項をグローバルな形で与えるグローバル新古典輸送シミュレータの開発を目指している。本年度は、グローバル新古典輸送シミュレータの基礎的部分の開発、および局所解析結果との比較のために、局所輸送解析コードDCOMの開発を行った。グローバル新古典輸送シミュレータの開発は、これまで電子サイクロトロン共鳴加熱による電子流束を評価するため開発されたシミュレーションコードを基にして行われた。まず、粒子ソース・損失項および物理量の評価等に関連する部分の開発を行った。また、出来上がった部分の妥当性等を検討し、シミュレーションコードの現段階での有用性を示すため、大型ヘリカル実験装置(LHD)のイオンサイクロトロン加熱における少数イオン粒子に対して適用を行った。少数イオン粒子のグローバル輸送シミュレーションにより、これまで謎であった少数イオンの5次元位相空間分布を得ることが出来、少数イオン粒子閉じ込めの解析において重要な情報が得ることが出来た。この研究成果については、国際土岐コンファレンスにおいて発表を行った。局所輸送解析コードDCOMの開発においては、コードの作成が終了した。また、このコードの信頼性の確認のため、LHD磁場配位における新古典輸送係数を評価し、これまで一般的に用いられているDKESコードとの比較を行い、良い一致を得た。
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