研究概要 |
本研究では,住宅への高効率エネルギー供給システムとして期待されているマイクロコージェネレーションシステム(μCGS)の導入可能性について検討している。本年度は,住宅における給湯負荷発生の時間的・量的ゆらぎに関する基礎データを収集するため,集合住宅における3世帯を対象として給湯負荷の実測を行った。次に,各世帯における実測の給湯負荷を賄うために必要なμCGSの発電機容量,貯湯槽容量および補助熱源の能力等の評価を行った。その結果,以下の知見が得られた。 ・実測の給湯負荷は,文献等における標準的な給湯負荷原単位よりも季節による変化が大きい。測定対象の世帯の場合,給湯負が小さい夏期においては,μCGSを部分負荷運転させるだけでは温水供給量の余剰が非常に多くなるため,μCGSを運転せず補助熱源のみで温水供給を行うことも考えられる。 ・補助熱源を導入せずμCGSの排熱回収のみで給湯を賄う場合,世帯によっては,従来の深夜電気温水器と同程度の300l以上の貯湯槽を必要とする。 ・補助熱源の導入による貯湯槽容量の削減効果は,補助熱源容量が小さい段階において最も高く,例えば,世帯によっては5kWの補助熱源追加によって貯湯槽容量を150l削減できる。 ・μCGSの給湯能力は低いため,発電機容量を増加しても必要な貯湯槽容量の削減効果は非常に小さい。 ・給湯負荷の時間的・量的なゆらぎが少ない世帯の場合でも,統計的に算定した1時間単位の負荷パターンと実際の負荷パターンとの差が大きい。このため,1時間単位の負荷パターンを用いる場合,特に補助熱源について必要な設備容量を大幅に過小評価する可能性がある。 ・複数世帯に対して一括して給湯を行う場合,浴槽へのお湯張り時刻のずれによって1世帯あたりに必要な貯湯槽容量を削減でき,特に補助熱源ありの場合に削減効果が大きい。
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