研究概要 |
本研究では,住宅への高効率エネルギー供給システムとして期待されているマイクロコージェネレーションシステム(μCGS)の導入可能牲について検討した。昨年度から継続して,集合住宅における3世帯を対象として給湯負荷の実測を行い,住宅における給湯負荷発生の時間的・量的ゆらぎに関する基礎データを収集した。また,収集したデータを用いて,各世帯における給湯負荷の時間的・量的ゆらぎが住宅用μCGSの省エネルギー性に与える影響を評価した。その結果,以下の知見が得られた。 ・現在,他の研究機関などで想定されている150l程度の貯湯槽容量の場合,日々の給湯負荷の変動により,PEFCの温水出力を貯湯槽に貯えることができずに廃棄される可能性がある。廃棄される温水出力を減らすためには,300l程度の貯湯槽容量が必要であった。ただし、貯湯槽容量を増加すると,貯湯槽における損失が増加した。 ・現在,他の研究機関では,補助熱源として30kW程度の給湯器が想定されている。しかし,貯湯槽容量を300l程度まで大きくするのであれば,運用方法によっては,5kW程度の補助熱源でも給湯負荷を賄えることがわかった。この場合,補助熱源からの温水供給が増え,廃棄されるPEFCの温水出力が増加するものの,年間を通じてみればその差はわずかであり,経済性を考慮すれば5kWの補助熱源のシステムにも優位性がでる可能性があることがわかった。 ・給湯負荷のゆらぎを考慮せず,統計的に平均かされた負荷データを用いて評価すると,住宅用μCGSの省エネルギー性を20〜30%程度過大評価する可能性があることがわかった。
|