研究概要 |
ホザキノフサモから放出される4種のアレロパシー物質(ピロガロール、没食子酸、(+)カテキン、エラグ酸)の藍藻類(Microcystis aeruginosa、 Phormidium tenue)、緑藻類(Selenastrum capricornutum, Scenedesmus quadricauda)、珪藻類(Achnanthes minutissima、 Nitzschia palea)に対する増殖抑制効果を評価した。4種のポリフェノールの増殖抑制効果は、藍藻類に対して総じて強く現れたが、珪藻類は比較的高い耐性を示した。また、4種のポリフェノールの複合作用を評価した結果、ピロガロール、没食子酸、(+)カテキンは、藍藻類、緑藻類、珪藻類に対して相乗的な増殖抑制作用を示したが、その相乗作用は特に藍藻類に対して顕著に現れた。緑藻類や珪藻類に対する増殖抑制作用には用量依存性が認められた。水中でのこれらポリフェノールの挙動を分析した結果、相乗作用はポリフェノール自身の自動酸化挙動の変化によって引き起こされることが示唆された。また、ポリフェノールの自動酸化時に電子スピン共鳴スペクトル分析を行った結果、藍藻類に対して顕著な増殖抑制効果を示したピロガロール、没食子酸はラジカルを生成することが確認された。しかし、(+)カテキンやエラグ酸はラジカルを生成しなかった。これらより、藍藻類はラジカルに対して敏感であることが推察された。
|