研究課題
琉球列島与那国島において、体高約1.5mのPorites属塊状サンゴ群体を水中ボーリング機にて採取した。また、琉球列島石垣島において、体高約6mのサンゴ群体を新たに発見したため、これを油圧ボーリング機にて採取した。またパラオ諸島において体高約2mのサンゴ群体を採取した。これら採取した試料について、研究室内で平板化→X線写真撮影→粉末試料採取を行い、一部について酸素同位体測定を行った。また石垣島サンゴ群体については年代決定のためのC-14年代測定を行った。石垣島及びパラオ諸島において定期採水を行っている水試料の塩分及びその酸素同位体組成の測定を行い、海水の変化がサンゴ年輪にどのように記録されているかについて調べた。石垣島においてはサンゴ年輪に与える海水の変化の影響は小さく、サンゴ骨格の酸素同位体組成は塩分補正によって水温変動の復元に十分利用可能であることを確認した。パラオ諸島のサンゴ年輪については、水温変化よりもむしろ海水変化の効果が大きく骨格の酸素同位体組成を支配していること、塩分と海水の酸素同位体組成がきわめて高い正相関を示すことから、サンゴ年輪が塩分の復元手段として利用可能であることがわかった。これらの成果は、2000年9月に米国で行われたSubmerged Coral Drilling Workshop、10月にインドネシアで行われた第9回国際サンゴ礁学会で発表した。また、石垣島サンゴ群体の結果の一部は7月にイスラエルで行われた第17回Radiocarbon Conferenceにおいて発表し、同内容は現在Radiocarbon誌で印刷中である。
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