研究概要 |
落花生葉に強度の異なる紫外線(UV-B)を照射し,UVレーザを励起光源としたLIF(laser-induced fluorescence)法によって波長420nmから760nmの範囲における蛍光スペクトルの相対強度測定および波長685nmにおける蛍光の誘導期現象測定を行った.誘導期現象測定より,葉の光合成活性度は,照射したUV-Bの強度によらず,照射線量に比例して減少することが分かった.また,蛍光スペクトルにおいて,530nmの蛍光強度(F530)と685nmの蛍光強度(F685)の比F685/F530の変化は,F685の誘導期現象測定で得られる光合成活性度の評価とたいへんよい相関関係が得られた.このことから,蛍光強度比F685/F530をリモートセンシング的に計測することで,UV-Bが作物葉に与える影響をモニタリング出来る可能性があることが分かった. また,UV-Bを照射した場合,照射後直ちにF430が増加することを明らかにした.この現象は,オゾンなどの大気環境物質による傷害葉では,観察されなかった.このことから,UV-Bによる葉の傷害の早期検出に,F430のモニタリングが極めて有効であることが分かった. さらに,オゾン濃度を0.1ppmの精度でコントロールできる暴露チェンバーの開発に成功し,オゾン濃度,暴露時間をパラメータに蛍光スペクトルの変化を測定した.UV-Bと同様に,F685/F530の変化とオゾン曝露による葉の光合成活性の低下に密接な関連があることが分かった.
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