フロンはオゾン層破壊物質として知られている。現在使用中のフロンは、回収されて、高温での燃焼処理が行われている。その際、フロンは二酸化炭素、塩化水素、フッ化水素に分解され、二酸化炭素は大気中に放出され、塩化水素とフッ化水素は産業廃棄物として処理を受けている。しかし、フッ化有機物は、その特異な物理的・化学的な特性から、高い需要と価値を持つため、変換・リサイクルすることが望ましい。我々はフロンを電気化学的に、リサイクル可能な化合物に変換することを試みた。反応は全てステンレス製の圧力容器中で行った。有機溶媒中、フロン5気圧下でいくつかの金属電極を作用極に、アルミニウム反応性電極を対極に用いて電解を行ったところ、他の金属はほとんど活性を示さなかったが、鉛電極においては40%以上の電流効率で、テフロンのモノマーのテトラフルオロエチレンが得られた。反応の効率は反応条件に大きく依存し、電位が-1.5Vの時に最も効率よくテトラフルオロエチレンが生成し、電流効率は70%まで改善することが出来た。1気圧下において同じ電位で電解したところ、電流効率は16%に低下した。フロン-12をテトラフルオロエチレンに変換するには、フロンを脱塩素化し、その後二量化させなければならない。そのため、電極表面上の反応中間体の濃度が反応効率に大きく依存するものと思われる。フロン高圧下では、電極表面にフロンが効率よく供給されるため、電極表面上の反応中間体の濃度が高くなって、効率的に二量化が進行したものと思われる。
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