今年度は、本課題のテーマである環境税と環境税制改革について、『環境税制改革の研究-環境政策における費用負担』(ミネルヴァ書房、2001年)を出版した。本書では、環境保全を重視した税体系の方向性を示唆するとともに、環境税・環境税制改革の税体系上の位置付けを提示し、環境政策における費用負担原則を理論化している。本書の内容は、以下のとおりである。 序章 環境税制改革と財政 第一章 環境税とその問題領域 第二章 環境税と環境税制改革の課題 第三章 インセンティブ型環境税の実態と理論化の試み 第四章 エネルギー税改革と産業部門 第五章 財源調達型環境税制改革への展開 第六章 環境税制改革への深化過程 第七章 環境広域管理と費用負担問題 第八章 「日本型」環境税のあり方を考える また学会報告については、(1)2001年6月に開催された日本地方財政学会第9回大会(大阪市立大学)において、「日本における地方環境税のあり方を考える」について口頭報告し、「日本型」環境税のあり方を考えるために、地方政府による環境税をいかに導入すべきか、その可能性について指摘した。さらに、(2)2001年10月に開催された日本財政学会第58回大会(関西学院大学)において、「スウェーデンにおける窒素酸化物排出課徴金制度の展開」について口頭報告を行った。ここでは継続的に研究を進めている同制度(インセンティブ型環境税と補助金のワンセット型目的税)についての経済的な分析を試みている。
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