平成13年度は、酵素アッセイによる中性および酸性スフィンゴミエリナーゼ(SM)阻害剤の探索を継続するとともに、ヒトTリンパ球系癌細胞であるJurkat細胞を用いて、中性SM特異的阻害物質として見い出されたchlorogentisylquinoneの細胞レベルでめSM阻害作用を評価した。 土壌などから分離した放線菌、糸状菌およびバクテリアの培養液を対家に約3000サンプルについてスクリーニングを行った。その結果、一糸状菌、FO-7436株より抗生物質として報告されているalutenusinが選択された。本化合物は中性SMに対して、IC50値で41.3μMを示し、酸性SMに対しては、350μMまで阻害活性を示さなかった。またこの阻害活性は非可逆的な阻害であることが示唆された。しかしながら今回のスクリーニングでは酸性SMを特異的に阻害する化合物は得られなかった。 一方、chlorogentisylquinoneをバイオプローブとし、SMを介するシグナル伝達の解明を行うことを目的に、Jurkat細胞を用いた細胞評価系を構築した。本年度はまずchlorogentisylquinoneのJurkat細胞に対する細胞毒性およびSM阻害活性を検討した。MTT法により、薬剤添加から20時間後の細胞毒性を評価したところ、chlorogentisylquinoneは50μMまで細胞毒性を示さなかった。しかしSM阻害活性を測定したところ、30μMまではSMの活性を阻害できなかった。chlorogentisylquinoneは中性SMに特異的であることから、現在、より特異性の高い細胞評価系を構築中である。
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