研究概要 |
本年度は,以下の事項について研究を行った. (1)BPIが補体系活性化を亢進させる他の細菌の検索 グラム陰性菌である大腸菌ATCC 25900株とDH5α株,およびグラム陽性菌である肺炎双球菌を用いて各種菌株上における組換えヒトBPIによる補体系活性化亢進を調べたところ,ATCC 25900株とDH5α株上ではBPIの効果が観察されたのに対して,肺炎双球菌上では補体系活性化亢進が観察されなかった.この結果より,BPIは補体系活性化亢進においてもグラム陰性菌特異的であることが示唆された. (2)補体系活性化亢進におけるBPIの機能領域の同定 まずBPIのC末端領域を欠失させた変異体をHEK293細胞で産生させることを試みたが,組換えタンパク質の産生は確認できなかった.Cys-132をAlaに置換した変異体のCHO細胞における産生とその抗菌活性が報告されているので,現在,この変異体の産生を試みている.一方,グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)とBPIのC末端領域の融合タンパク質を大腸菌で産生させることに成功した.今後は,この融合タンパク質が対照のGSTと比較してBPIによる補体系活性化亢進作用に対する阻害効果をもつかどうかを検討する予定である.
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