研究概要 |
血液凝固系タンパク質のEGF様ドメインのセリン残基にXylα1-3Xylα1-3Glcβ1-O-Serという特徴的なO-配糖体がみられる。今年度は、その生合成に関わるUDP-キシロース:β-グルコシドα1-3キシロシルトランスフェラーゼ(G酵素)の精製と、天然基質である血液凝固系タンパク質中のEGF様ドメインのセリン残基にグルコースのみがβ結合したペプチドの合成を計画した。 ウシ肝臓を出発材料とした。前年度までに合成済みの2-[2-ピリジルアミノ]エチルβ-D-グルコピラノシドをアクセプター基質として活性測定を行った。精製は、遠心分離による膜画分の分画の後、活性画分を各種クロマトグラフィーに展開して行った。DEAE陰イオン交換クロマトグラフィー、Sephacryl S-200ゲル濾過クロマトグラフィー、MonoQ陰イオン交換クロマトグラフィー、UDP-ヘキサノールアミンアガロースクロマトグラフィー、HQ陰イオン交換クロマトグラフィーの順に展開することで、これまでにSDS-PAGE上で二本のバンド(45kD、48kD)になるまで部分精製された。現在、単一な酵素を得るために、マンガンキレートアフィニティークロマトグラフィーを行っている。なおこの糖転移酵素の活性にはマンガンイオンが必要である(Minamida et al.,1996)。また部分精製された2種のタンパク質はレクチンに結合するので糖タンパク質であった。 天然基質の合成に関しては、東海大学北條助教授、大阪大学相本教授との共同グループにより、グルコースがセリン残基に結合した糖ペプチドの合成が行われた。現在、ウシ、あるいはヒトのEGF様ドメインのアミノ酸配列をもとにして天然基質を合成中である。
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