Cblファミリー分子の機能解析を行い、以下の結果を得た。 1)Cbl-b欠損DT40細胞を樹立・解析した。Cbl-b欠損細胞はB細胞抗原受容体刺激に伴うIP3産生・カルシウム動員が野生型細胞と比較して、減弱していた。この表現型は以前報告したCbl欠損DT40細胞と全く逆であった。Cbl-b欠損細胞ではPLC-γ2のチロシンリン酸化が減少していたが、これはチロシンキナーゼSykやBtkの活性減少のためではなく、Cbl-bがないとBtkとPLC-γ2の相互作用が維持されないためであった。この機能にはCbl-bのN末端のTKBドメイン及びC末端側半分が重要であった。以上よりCbl-bはB細胞抗原受容体シグナルにおいて、Btk/PLCーγ2/BLNKの複合体の形成を促進することによって、BtkによるPLC-γ2の活性化を正に制御するscaffold蛋白質であることが明らかとなった。 2)Cbl-cがv-Srcによる細胞癌化を抑制することを見いだし、その作用機序を解析した。変異体を用いた結果、Cbl-cのTKBドメイン及びRINGフィンガーが重要であった。TKBドメインはv-Srcと結合するのに、またRINGフィンガーはユビキチン化を介して、v-Srcを分解するのに重要であると考えられた。実際野生型Cbl-cの発現によりv-Srcの量は減少した。またCbl-cと共役するE2をin vitroユビキチン化アッセイにより決定した。さらにCbl-cはc-Srcをユビキチン化した。以上より、Cbl-cはユビキチン化を介してv-Srcによる細胞癌化を抑制することが明らかとされ、更に詳細を解析している。
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