研究概要 |
1.MC5発現系の構築 本研究においては、キネシンファミリーの微小管モータ分子であるncdの短縮変異体MC5(modified claret 5)によって起きる、微小管の1次元ランダム運動の非線型動力学解析を行なう予定なので、まず遺伝子工学によるMC5の発現系を構築することにした。pETベクターを用いたMC5の発現ベクターを現在構築中である。 2.分子モーター単分子の歩行運動の運動速度および揺らぎを説明する理論 これまでに、私は英国バーミンガム大学のNeil Thomas教授との共同研究により、キネシン単分子の微小管上での運動の力学的特徴をよく再現する理論モデルを構築した。この理論モデルはRiceらによる構造変化の研究結果(Nature,402,778.)に基づき、キネシン・ネックリンカーの構造変化が単一キネシン分子の歩行運動と共役している事を仮定している。このモデルの解析を行った結果、Visscherらによる単一キネシン分子の一定負荷条件下における運動実験(Nature,400,184.)で観察された、運動速度および揺らぎの性質の両者を説明することができた。この結果についての論文はすでに執筆しており、現在投稿中である。またモーター分子歩行運動モデルは、多少の改変を加えることでミオシンファミリーのモーター分子であるミオシンVの単分子運動の性質も説明できることがわかった。
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