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2000 年度 実績報告書

ヒトにおける相同DNA組換えの分子機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 12780523
研究機関理化学研究所

研究代表者

胡桃坂 仁志  理化学研究所, 細胞情報伝達研究室, 研究員 (80300870)

キーワード相同組換え / 遺伝的組換え / DNA修復 / 染色体 / Rad51C / Rad51D / Xrcc2 / Xrcc3
研究概要

相同DNA組換えは、減数分裂期におこる遺伝的組換えの際に中心的な役割を果たしている。この反応により、父親由来の染色体と母親由来の染色体の間で遺伝情報の交換がおこり、子孫に伝わる遺伝情報に多様性が生じる。相同DNA組換えは、、電離放射線や化学療法剤、またはDNA複製のエラーによってしばしば引き起こされる二重鎖DNA切断の修復にも重要な役割を果たしている。相同DNA組換えが破綻すると、二重鎖DNA切断が修復されずに蓄積し、染色体間での無秩序なDNA組換えを誘発する。その結果、染色体異常がおこり、細胞はその秩序だった増殖調節能を失い、そして細胞はがん化する。この相同DNA組換えを経由したDNA修復は、おもに姉妹染色分体間でおこり、HsRad51によって触媒されていると考えられている。ところが、HsRad51は、脳などの臓器では発現しておらず、このことはHsRad51に依存しない組換え修復経路が存在することを示している。そこで本研究において、HsRad51非依存的な相同DNA組換え経路に働く遺伝子産物を同定するために、HsRad51と約20-30%の相同性を有するXrcc2およびXrcc3に着目し、これらとの相互作用因子をhuman brain cDNA libraryからスクリーニングした。その結果、Rad51Cが脳内での主要なXrcc3相互作用因子であり、Rad51DがXrcc2相互作用因子であることが分かった。そしてまず、Xrcc3・Rad51C複合体をリコンビナントタンパク質として精製し、そのDNA組換え活性(相同的対合活性)を検討した結果、Xrcc3・Rad51C複合体がHsRad51よりも強い相同的対合活性を持つことが明らかになった。また、Xrcc3・Rad51C複合体は、単鎖DNAと結合してフィラメント状の複合体を形成することが、電子顕微鏡による観察により明らかになった。この単鎖DNAとのフィラメント形成能は、Rad51C単独でも保持されていることが分かった。このようなヌクレオプロテインフィラメントの形成は、バクテリアの組換え酵素であるRecAにおいて見出されている。、このRecAとの類似性と合わせて、本研究において、Xrcc3がRad51Cとともに相同DNA組換えの要の反応である、相同的対合反応の過程で働くDNA組換え酵素であることを明らかにした。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Kurumizaka,H.,Aihara,H.,Ikawa,S.,and Shibata,T.: "Specific defects in double-stranded DNA unwinding and homologous pairing of a mutant RecA protein."FEBS Letters. 477. 129-134 (2000)

  • [文献書誌] Kato,M.,Yano,K.,Matsuo,F.,Saito,H.,Katagiri,T.,Kurumizaka,H.,Yoshimoto,M., et al.: "Identification of Rad51 alteration in patients with bilateral breast cancer."J.Hum.Genet.. 45. 133-137 (2000)

  • [文献書誌] Yokoyama,S.,Matsuo,Y.,Hirota,H.,Kigawa,T.,Shirouzu,M.,Kuroda,Y.,Kurumizaka,H.,Kawaguchi,S., et al.: "Structural genomics projects in Japan"Prog.Biophys.Mol.Biol.. 75・5. 363-376 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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